日本三大和牛として、松坂牛・神戸牛に並び米沢牛は高品質な和牛です。厳しい基準により出荷数の少ない米沢牛は、他の肉にはない旨味が詰まっています。しかし、「米沢牛の定義って何?」「米沢牛の美味しい食べ方が知りたい」と考えている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、米沢牛の定義から歴史について解説いたします。米沢牛の美味しい食べ方についても紹介しているため、ぜひチェックしてみてください。
米沢牛の定義について
米沢牛の定義とは、米沢牛銘柄推進協議会が提示する下記4つの条件を全て満たした牛肉のことを指します。
・飼育者は、置賜三市五町に居住し米沢牛銘柄推進協議会が認定した者で、登録された牛舎での飼育期間が最も長いものとする。
・肉牛の種類は、黒毛和種の未経産雌牛とする。
・米沢牛枝肉市場若しくは東京食肉中央卸売市場に上場されたもの又は米沢市食肉センターでと畜され、公益社団法人日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉とする。但し、米沢牛銘柄推進協議会長が認めた共進会、共励会又は研究会に地区を代表して出品したものも同等の扱いとする。また、輸出用は米沢牛銘柄推進協議会が認めたと畜場とする。
・生後月齢32ヶ月以上のもので公益社団法人日本食肉格付協会が定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れている枝肉とする。
引用元:米沢牛銘柄推進協議会「米沢牛の定義」
上記の厳しい定義をクリアした牛肉だけが、米沢牛として扱うことが許されています。さらに、米沢牛は農林水産省が定める特定の産地や特徴のある土地を知的財産とする「地理的表示保護制度(GI)」にも登録されています。
このことから、厳しい条件をクリアし、特定のエリア・環境で生産しているため米沢牛はブランド牛として確立されていると言えるでしょう。
日本三大和牛・米沢牛について
米沢牛は、山形県で生産されている和牛の一つです。日本三大和牛の一つとして数えられており、高品質で旨味成分が凝縮されています。日本でも広く親しまれていることから、米沢牛には他の牛にない高いブランド性と社会的評価が与えられているのです。
広く知られている米沢牛ですが「そもそも日本三代和牛って何?」という人もいるでしょう。ここでは、日本三大和牛の詳細や米沢牛の特徴について解説いたします。
日本三大和牛とは
日本三大和牛とは、松坂牛・神戸牛・米沢牛の3つを指します。日本で最もブランド性の高い和牛であり、世界中で人気を集めています。また、「和牛=国産牛」と考えている人も多いのではないでしょうか。和牛とは、以下5つのうちいずれかに当てはまる牛の品種を指します。
- 黒毛和種
- 褐色和種
- 日本短角種
- 無角和種
- 交雑種(上記4つの和牛を交配させた品種)
一方、国産牛は新種に関係なく3ヶ月以上国内で飼育された牛のことを指します。つまり、和牛と国産牛では種類自体が異なるのです。日本三大和牛は和牛の中でも、それぞれが定める厳しい基準により出荷数が少ないブランド牛となります。
それでも美味しい米沢牛
米沢牛はきめ細かい霜降りに、脂身が浸透した旨味のある肉質が特徴です。山形県南部の三市五町(置賜地方)の厳しい気候と豊かな環境で、米沢牛は飼育されています。
米沢牛の飼育農家の多くが、出荷するまで32ヶ月以上の時間をかけて育てます。飼育農家は餌の与え方に最大限注意し、我が子のように育てるため、他の和牛にはない味わいを生み出します。
米沢牛のふるさと・肥沃な置賜(おきとも)盆地
牛の肉質を左右するのは、豊かな環境が関係しています。品質を向上させる良質な水や肥料が、米沢牛特有の美味しさを生み出しているのです。ここでは、米沢牛のふるさと肥沃な置賜盆地について解説いたします。
肉質を左右する良質な水
山形県南部の置賜地方は、盆地特有の寒暖差が激しい地域です。置賜地方は冬の時期になると、山間部に大きく雪が積もります。雪には日本海からのミネラルを多く含んでいるため、冬から春の時期にかけて流れる雪解け水は、置賜地方特有の良質な水と言えるでしょう。
多くのミネラルを含んだ水を牛に日々与えることで、良質な肉質に成長します。他にはない良質な水を与えているからこそ、米沢牛を美味しくしてくれる秘訣です。
オリジナルブレンドの飼料がポイント
米沢牛の美味しさの秘訣は、良質な水だけではなくオリジナルブレンドの肥料がポイントです。
置賜盆地の麦・ふすま・大豆・トウモロコシなどを原料とし、飼育者自家製の米・牧草を加えたオリジナルブレンド肥料を与えています。一般牛以上の特別な肥料を与えることで、良質な肉質へと成長するのです。
また、毎回同じ量の肥料を与えるだけではなく、牛の体調を確認して変更しています。一頭一頭丁寧に飼育することで、美味しい米沢牛になります。
米沢牛の歴史
今では日本三大和牛として全国的に人気を集めている米沢牛ですが「米沢牛はいつから全国的に知られるようになったの?」と疑問を感じる人も多いでしょう。続いては、米沢牛の歴史や全国的に広まった理由について解説いたします。
岩手県南部から農耕・荷役用に連れてきた牛の飼育が始まり
置賜地方で牛を飼育するきっかけは、岩手県南部から農耕・荷役用に連れてきた牛の飼育が始まりとされています。牛には高い適応能力が備わっていたことから、豪雪地帯として厳しい寒さの置賜地方でも荷物の積み下ろしとして利用されていました。
仕事が終わった牛を越後街道沿いの村々に売ることで、置賜地方で牛飼いが定着することになります。明治時代以前から置賜地方では牛を飼育していたとされており、長年の経験が良質な米沢牛を生み出しているのです。
「肉食禁止」が解かれる前から知られていた牛肉の滋養効果
明治時代初期の日本は仏教の影響から「肉食禁止」とされていました。しかし、牛は荷物の積み下ろしに明治時代以前からよく利用されており、昔から人々の生活には欠かせない存在です。
そのため、肉食禁止が解かれる前から一部の人には、牛肉の滋養効果は知られていました。特に医師からは「薬食い」として、広く推進していた背景もあるようです。
イギリス人によって全国に広まった米沢牛
米沢牛は明治8年に日本へ赴任してきたイギリス人洋学教師チャールズ・ヘンリー・ダラス氏が、横浜の居留地に持ち帰ったことで全国に広まったとされています。
また、横浜を中心に販売されていた織物の買い付けにきた関西圏商人が目をつけたことも、全国的に米沢牛が広まった要因のようです。
米沢牛の美味しい食べ方
米沢牛は最高級の肉質を生かすことで、より美味しく食べることができます。ここでは、米沢牛の美味しい食べ方を4つ解説いたします。
米沢牛はステーキが美味しい!サーロインや赤身をじゅわっと焼き上げる!
きめ細かい霜降り肉の、赤身に溶けた脂が米沢牛の美味しさの特徴です。そんな米沢牛を味わいつくしたいのなら、ステーキは外せません。
脂は良質で肉質も柔らかいため、焼き加減はレアやミディアムレアがおすすめです。
自宅でステーキをつくる際のポイントは、フライパンを高温にしておき、さっと焼き上げることです。
脂肪がジュワッと溶け出し、ほおばると思わず笑顔がこぼれます。
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肩、モモ肉は割り下で蒸す置賜風すき焼きでどうぞ
米沢牛の肩、モモ肉なら、すき焼きがおすすめです。
一般的なすき焼きのレシピでも美味しく食べられますが、産地である山形県置賜地方の「置賜風すき焼き」もぜひ試してみてください。
置賜風すき焼きは、アツアツにしたすき焼き鍋に野菜、お肉を順に重ね、そこに割り下を一気に注いで調理します。
鍋にふれた割り下はすぐさま蒸気になります。蒸気で蒸されたお肉は、割り下でグツグツ煮込むよりもふわふわに仕上がるため、脂の融点が低い米沢牛にはぴったりなのです。
割り下を作る際は、白味噌を加えることで牛肉の味わいに深みが生まれます。
旨味がぎゅっと詰まったハンバーグも絶品!
米沢牛のひき肉を使ったハンバーグは、甘い肉汁が口いっぱいにじゅわっと広がるジューシーさです。
ひき肉を使って自分で調理をしてもよいですが、手軽に美味しいハンバーグを楽しみたいなら、ハンバーグのパティをお取り寄せする方法もおすすめです。
「米沢牛の恩人」にちなみ、ローストビーフやコテージパイといったイギリス料理も!
米沢牛を全国に広めたことから、チャールズ・ヘンリー・ダラス氏は「米沢牛の恩人」と呼ばれています。
そんなチャールズ氏の出身国・イギリスにちなみ、米沢牛をローストビーフやコテージパイといったイギリス料理にするのもよいでしょう。
高温で表面を焼き上げて牛肉の旨味をしっかり閉じ込めるローストビーフは、お肉のジューシーさを楽しむのにぴったりです。
マッシュポテトや玉ねぎ・チーズと米沢牛をまぜあわせて作るコテージパイも絶品です。
通常はひき肉を使うのですが、切り落とし肉などを粗くカットした自家製ミンチ肉を使うとよりお肉の食感あふれるパイになります。
サクサクとした食感と、肉汁が凝縮されたパイの内側はチーズとも絶妙にマッチします。
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まとめ
以上、米沢牛の定義から歴史について解説いたしました。米沢牛は日本三大和牛の一つであり、厳しい基準により認定される出荷数が少ないブランド牛です。岩手県南部から農耕・荷役用に連れてきた牛の飼育が始まり、イギリス人によって全国に広まったとされています。
肥沃な置賜盆地で良質な水・一頭一頭家族のように育て上げることで、他の和牛にはないきめ細かい霜降りに、脂身が浸透した旨味が特徴です。赤身部分を美味しく食べられるランプ・ヒレをステーキ、山形県置賜地方の「置賜風すき焼き」など、さまざまな方法で美味しく食べられます。どのような食べ方でも柔らかい肉質に溶けた脂を味わえるため、気になる方はぜひお取り寄せしてみてください。