仙台牛は、ブランド牛として知られています。実際に味わったことがなくても、食べてみたいと考えている人もいるのではないでしょうか。事前に仙台牛について詳しく調べておくことで、より楽しむことができるかもしれません。
本記事では、ブランド牛の中でも飛びぬけて厳しい仙台牛について、定義と気になる味を紹介いたします。
仙台牛の定義について
仙台牛の定義は、次のように定められています。
- 黒毛和種であること
- 仙台牛生産登録農家が個体に合った適正管理を行い、宮城県内で肥育された肉牛であること
- 本協議会が認めた市場並びに共進会等に出品されたもの
- (公社)日本食肉格付協会枝肉取引規格が、A5またはB5に評価されたもの
宮城県では、年間およそ20,000頭が食肉として出荷されています。しかし、そのうち仙台牛の名で出荷できるのは4割だけです。
仙台牛として認められるのは、霜降りと赤身のバランス、きめの細かさなど厳しい基準をクリアした牛肉のみです。仙台牛は、最高ランクに格付けされた特別なブランド牛なのです。
仙台牛の格付けについて
仙台牛は、牛枝肉取引規格というものによって格付けされています。適用条件があり、歩留等級と肉質等級によってランクが決まります。
歩留等級
歩留等級とは、骨のついた肉から骨や余分な脂などを取り除き、肉にした時の肉の割合のことです。歩留まりが良いほど肉(赤身)が多く、生産効率が良いとされます。
歩留等級決定の歩留基準値は、次の式によって算出されます。
歩留基準値=67.37 +〔0.130×胸最長筋面積(cm²)〕+〔0.667×「ばら」の厚さ(cm)〕−〔0.025×冷と体重量(半丸枝肉kg)〕−〔0.896×皮下脂肪の厚さ(cm)〕
肉用種枝肉の場合、2.049を加算して歩留基準値になります。
歩留基準値の加算対象となる肉用種とは、次のとおりです。
- 黒毛和種
- 褐毛和種
- 日本短角種及び無角和種の4品種並びにこの4品種間の交雑牛
歩留等級の区分は3区分であり、等級呼称は、A、B、Cとされています。各等級の詳細は、次のとおりです。
- 等級A・・・歩留基準値が72以上で、部分肉歩留が標準より良いもの
- 等級B・・・歩留基準値が69以上72未満で、部分肉歩留の標準のもの
- 等級C・・・歩留基準値が69未満で、部分肉歩留が標準より劣るもの
歩留等級は、上記のように決定されます。しかし、この規定にかかわらず、枝肉が次のいずれかに該当する場合、1等級下に格付しても差し支えないものとされています。
- 1.切開面における筋間脂肪が、枝肉重量及び胸最長筋面積に対して、相対的に厚いもの
- 2.「もも」の厚みに欠け、かつ、「まえ」と「もも」の釣合を著しく欠くもの
肉質等級
肉質等級は、「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉の締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」の4項目で評価されます。肉質等級の区分は5区分であり、等級呼称は5、4、3、2、1とされています。
脂肪交雑の評価は、次のとおりです。
- 等級5・・・かなり多いもの
- 等級4・・・やや多いもの
- 等級3・・・標準のもの
- 等級2・・・やや少ないもの
- 等級1・・・やや少ないもの
肉の色沢、肉の締まり及びきめ、脂肪の色沢と質の評価は、次のとおりです。
- 等級5・・・かなり良いもの
- 等級4・・・やや良いもの
- 等級3・・・標準のもの
- 等級2・・・標準に準ずるもの
- 等級1・・・標準に準ずるもの
こういった基準によって等級が決定されます。
仙台牛と仙台黒毛和牛
肉は、歩留等級と肉質等級によって格付けされます。「仙台牛」として認められるのは、A5もしくはB5と評価されたものだけです。
仙台牛と同じ育て方をしていたとしても、C5〜B3と評価されたものは「仙台黒毛和牛」と称されます。ただし、霜降りは劣りますが、味はひけをとりません。
仙台牛の歴史
仙台牛の歴史は、昭和6年に宮城県畜産試験場が肉質の向上を図るために兵庫県から種牛を導入し、牛の改良を手掛けたことから始まりました。
仙台牛の産みの親「茂重波号」とは
仙台牛の産みの親「茂重波号(しげしげなみごう)」は、兵庫県の名牛といわれた「茂金波号(しげかねなみごう)」の産子です。兄弟種雄牛も百数十頭を数え、全国各地で活躍したといわれています。
現在出回っている仙台牛のほとんどが、「茂重波号」の血統を引いています。すなわち、「茂重波号」が仙台牛の生みの親と言えます。
米どころの稲ワラと良質な水で3年をかけて丁寧に育てたお肉
宮城県は、全国有数の米どころとして知られています。仙台牛は、良質な水で育てられた稲ワラを贅沢に食べて育ちます。豊かな自然の恵みを吸収し、3年かけて丁寧に育てられることで、仙台牛の美味しさが作られます。
また、宮城県は子牛の産地です。牛は生まれた時から自然の中で、のびのびと成長していきます。したがって、肉質にぶれが少ないのです。宮城県という自然豊かな土地だからこそ、美味しい仙台牛が育ちます。
仙台牛の美味しい食べ方
仙台牛の美味しい食べ方を紹介いたします。それでは見ていきましょう。
脂がのったサーロインやヒレはステーキに!
脂がのったサーロインやヒレはステーキにするのがおすすめです。レアで焼いて食べると、美味しく味わうことができる可能性が高いです。
ワサビをつけて食べると、ピリッとした辛みが程良いアクセントになります。仙台牛の本来の旨みがワサビによって引き出され、存分に感じられます。塩をつけて食べるのも良いでしょう。
ステーキで食べる際のポイントは、冷蔵庫で解凍後、30分程前に冷蔵庫から出しておくことです。これにより、丁度良い温度になります。また、一度フライパンに置いたら、お肉はなるべく動かさず、一度だけひっくり返すのも重要です。これは、肉の旨みを外に逃さずないようにするためです。
モモ、ロースを使ったすき焼きに舌鼓!
モモやロースはすき焼きで食べるのがおすすめです。仙台牛はまろやかな風味と脂身と赤身のバランスが抜群です。すき焼きにもぴったりで、生卵と絡めれば極上の旨みを感じられます。
甘辛い割り下に仙台牛の脂の旨みが溶けだすことで、コクのある深い味わいになります。モモやロースの薄切りを手に入れたら、是非すき焼きにしてみてください。
すき焼きで食べる際のポイントは、焼きすぎないようにすることです。ある程度赤い部分がなくなったら、鍋の端に寄せておきましょう。
歯ごたえのあるモモはローストビーフにしても美味しい!
歯ごたえのあるモモは、ローストビーフにしても美味しいです。香味野菜とともにオーブンに入れ、じっくり焼き上げましょう。表面は綺麗な焼き色が入り、中心部分は柔らかなレアの焼き加減になります。
ローストビーフで食べる際のポイントは、フライパンでじっくり焼くことです。これによって、仙台牛の旨みを中にギュッと閉じ込められます。ローストビーフにすれば、肉本来の味を楽しめます。
ご当地バーガーに習ってハンバーグはいかが?
ご当地バーガーに習って、ハンバーグにするのもおすすめです。フライパンが温まったら、油をひかずハンバーグを入れましょう。焦げ目が少しつく程度に表面を焼き、表面にヒビが入らないようにそっと返すのが重要です。
蓋をしてゆっくり火を通すと、ジューシーな味わいになります。ハンバーグの表面がふっくらしてきたら完成です。他の牛では味わえない、トロトロの肉汁は唯一無二の美味しさです。
まとめ
ブランド牛の中でも飛びぬけて厳しい仙台牛について、定義と気になる味を紹介いたしました。仙台牛として認められるのは、A5またはB5に評価されたものだけです。
一流のブランド牛である仙台牛を産み出したのは、神戸の茂重波号です。こういった背景があり、神戸牛ブランドと味が守られているのです。仙台牛は、他と牛とは格の違う美味しさですので、是非お取り寄せしてみてください。