松阪牛の定義について
松阪牛と認められるには、以下の4つのポイントを全て満たす必要があります。
- 黒毛和種のうち、出産経験のない雌牛であること
- 松阪牛個体識別管理システムに登録されていること
- 松阪牛生産区域で育てられている期間が生涯のうち最も長い期間に該当し、最終であること
- 生後12月齢までに松阪牛生産区域に入り、その後の移動は生産区域から出ないこと
この条件を全て満たした牛だけが松阪牛として認められ、厳しい管理のもと市場に並びます。松阪牛が店頭に並ぶ際には、「松阪牛シール」が貼られることとなり、消費者はこのシールを見て判断することができます。
日本三大和牛・松阪牛について
日本には、松阪牛をはじめ質の高いブランド牛がさまざまな地で産出されています。とりわけ高い知名度と品質を持つとされるのが、日本三大和牛です。
日本三大和牛とは
和牛のうち、特に品質の高さに定評のあるブランド牛のことを、日本三大和牛と呼びます。その三本の銘柄にあたるのが、「松阪牛」「神戸牛」「近江牛」です。
しかし、現在は「米沢牛」も負けず劣らずの品質と人気を誇り、近年では米沢牛を含めた日本四大和牛として取り上げられることも増えています。日本を代表する和牛の銘柄を覚えておくのであれば、この4つを押さえておく方が無難と言えるでしょう。
よく国産牛と和牛とが混同されがちですが、和牛は国産牛よりもより厳しい要件を満たす必要があります。さらに、それぞれのブランド牛としての審査も受けなければなりません。ブランド牛の銘柄は日本各地に約300種にものぼるため、三大和牛や四大和牛として数えられる銘柄はまさしく代表格といった存在です。
「まつざか」「松坂」は誤り
松阪牛の表記や読み方について、しばしば間違った情報が飛び交うこともあるようです。正しい読み方は、「まつさかうし」もしくは「まつさかぎゅう」です。「まつざかぎゅう」や「まつざかうし」と呼ばれることも多いですが、これは間違いです。また、「松坂」ではなく「松阪」と表記します。
<h2松阪牛を育てるプロフェッショナルたち
松阪牛は、甘く上品な香りと良質な脂肪、そしてまろやかで口どけの良い食感が特徴的ですね。その美味しさを保つために、どのような環境で飼育されているのか紹介いたします。
松阪牛は豊かな自然環境で育つ
松阪牛は、松阪牛生産区域に指定される場所で長い時間を過ごします。この区域は、松阪市をはじめとする三重県の中央部に広がっており、市町村合併前の旧22市区町村が該当します。
松阪牛生産区域は、温暖な気候といくつかの清流に恵まれた自然豊かな場所です。雲出川、櫛田川、宮川などに流れるきれいな水と、のどかで美しい環境が美味しさにつながると考えられています。
松阪牛の育て方はプロフェッショナルごとにさまざま
松阪牛の高い品質は、その道のプロである飼育農家の努力も大きく影響しています。育て方は飼育農家ごとに個性があり、独自の経験をもとにした管理や工夫も見られます。
与える餌は、各農家秘伝のブレンドしたものとなっています。月齢や体調などを見ながら適切に与えられているほか、ストレスを感じにくい環境づくり、マッサージや丹念な洗体によるコミュニケーションなど、飼育方法はさまざまです。
コンテスト最優秀常連・松阪特産牛を育てるプロフェッショナルが、いまピンチに
数々のコンテストで素晴らしい成績を残し続けているプロフェッショナルの伝統的な飼育方法が、存続の危機に直面しています。松阪牛の中でも伝統的な飼育方法を用いて900日以上、兵庫県産の子牛から育てた牛は「特産松阪牛」として扱われ、多くのコンテストで最優秀賞を獲得してきました。
しかし、近年はより収益率の高い多頭飼育に携わる生産者が増加し、特産松阪牛のような小規模で手間をかけて育てる生産者はわずか1軒のみと危機的な状況です。農家の高齢化に伴う後継者不足もあり、廃業が相次いでいます。
行政による存続のための支援事業が活用されているものの、そのピンチから脱却はできておらず、既存の牛舎などを生かした新たな後継者が求められているところです。
松阪牛の歴史
今や多くの人が知る松阪牛の美味しさは、いつ頃から人々によく知られ、食卓に並びご馳走になっていったのか、その歴史を紹介いたします。
松阪牛のルーツは「但馬牛」にあった
松阪牛のルーツは、兵庫県の但馬(たじま)に生まれた但馬牛にあります。但馬では、もともと自然に恵まれた環境のもと、多数の牛が古くから飼育されていた地域です。江戸時代の松阪にやってくる牛のほとんどは但馬から来ており、役牛として人々の暮らしに無くてはならない存在でした。
おとなしい性格の但馬牛は農耕や荷役用として活躍
但馬から松阪にきた牛は、農家のもとで荷物を運んだり田を耕したりして、人の役に立ってきました。もともと、おとなしい性格で働き者な一面をもつ但馬牛だからこそ、重宝され活躍しました。江戸時代の日本は、仏教の思想から牛肉を食べる習慣はなく、その美味しさが知れ渡るのはもう少し先のことでした。
松阪牛の美味しさは、明治以降に広く知られるように
明治時代になると、諸外国の文化を取り入れるようになったことで、日本人の食生活も大きく変わっていきました。お肉が食卓に並ぶ機会も増えていき、この頃から松阪牛の美味しさには定評があったといいます。
松阪から東京まで、当時は歩いて3週間もかかる長い道のりでした。それでもたくさんの牛が東京に売られ、日本各地で開かれる品評会で多数の入賞をおさめるなど、その素晴らしさを広めてきた先人の苦労も功を奏し、全国的に知られるブランド牛に早い段階から発展していきました。
松阪牛の美味しい食べ方
それでは、松阪牛の魅力をたっぷりと堪能できる、おすすめの食べ方を厳選してご紹介いたします。
松阪牛の風味と食感を味わい尽くすなら、やっぱりステーキ!
松阪牛は、とろけるような口どけのよい脂肪と柔らかな肉質、そして上品な香りが特徴です。
どの部位も美味しいことに変わりはありませんが、それぞれ脂の入りかたや旨味は少しずつ異なります。
部位ごとの違いを楽しむなら、定番の調理法・ステーキがおすすめです。
霜降り部位の旨味と食感、控えめながら良質な脂と柔らかな肉質の赤身、両方を食べ比べてみましょう。
松阪牛の旨味を余すところなく堪能するなら、すき焼き!
松阪牛のエッセンスを味わいつくすなら、なんといってもすき焼きです。
お肉はもちろん、その旨味がたっぷりとしみ込んだ野菜、シラタキもまた頬が落ちる美味しさで、お箸が止まらなくなること間違いありません。
そんな松阪牛の中でも、1頭からわずか2㎏ほどしか取れない希少部位・トンビでさらにぜい沢なすき焼きはいかがでしょうか。
ビーフシチューやカレー、肉じゃがにも!
毎日の家庭料理も、松阪牛を使うだけでご褒美ごはんにアップグレードします。
ゼラチン質たっぷりのすね肉、バラ、ネックなどを使ったビーフシチューやカレーの美味しさは、想像しやすいのではないでしょうか。
松阪牛の美味しさは、家庭料理に使ってみるとよくわかるのかもしれません。
焼肉の定番、カルビ肉は大人も子どもも大喜び!
焼き肉もまた、美味しいお肉を味わうにふさわしい調理方法です。
それが松阪牛ともなれば、大人も子どもも大興奮で食卓につくことでしょう。
松阪牛だからこそ、シンプルな調理・焼肉で十分にその良さを引き出せます。
ブランド牛の代表格・松阪牛のカルビをお楽しみください。
まとめ
松阪牛は、数あるブランド牛の中でもとりわけ品質・知名度が高く、日本で牛肉が食されるようになってから早い段階でその味の良さが伝わりました。今もそのブランドを守るべく、プロフェッショナルが丹精込めて飼育し、まさに和牛の代表格といった存在です。ステーキや焼き肉はもちろんのこと、どんな料理にも使いたくなる美味しさをぜひ体験してみてはいかがでしょうか。早速お取り寄せして、色んな方法で味わってくださいね!